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日本の都市計画・まちづくり 3つの問題点 卒業設計の参考に 1文から始める建築要約

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どうも、こんにちはぺいです。


 この記事のテーマ


日本の「都市計画」が抱える 3つの問題点って何?

今回は、上の通り、「日本の都市計画・まちづくりってどんな問題があるの?」っていうところについて見ていきたいと思います。

参考文献は、西村幸夫『西村幸夫 都市論ノート』(2000、鹿島出版会)です。


卒業設計を考え始めたけども、どこから着眼していいかわからない方、設計でまちづくりを提案したいけど、どんな問題があるのかわからない方はよかったら是非。



じゃあ、問題は何か? 結論からいってしまいますと、


場所を提供する側と提供される側のみで関係が閉じてしまう、制度的な問題

開発のたびに壊して作る、スクラップアンドビルド型の都市開発の構造

詳細な要求をされる、法制度

以上3つが問題点として挙げられてます。
一つずつ詳細にみていきます。

ただ、上を見てわかるように、ぶっちゃけこの3つの問題点は「都市づくりの根本的な問題」なので、学生が設計提案に結び付けるのは難しいかもしれないです。

が、今の都市の現状がどうなってるのか?一体何が問題なのか?

っていうのは、建築学科にいるうえでの教養にはなると思いますんで、それでもいいよーって方は引き続きどうぞ。


①制度的な問題点

では、一つ目の「制度的な問題点」から。

1つ目の制度的な問題っていうのは、①その都市開発の制度上その土地の権利を持ってる人と、②その場所を使いたいんですよって言う人の2人の間で関係が閉じてしまうその場所の関係が終わってしまう、という問題点です。

どういうことか?

まず、まちづくりがどんな感じで進んでいくのかというと、「この場所に新しく作り直します」、「この場所にこんな場所を作りたいです」って言う形で進んでいきますよね。

で、そういう話になったときに、「その場所の権利を持ってる人」と「その場所の権利が欲しい人」の間のみで、「その場所」の使われ方、創られるものが決まってしまう。というわけです。

じゃあ、そんな感じで、「権利を持ってる人」とその「権利の権利が欲しい人」の間で関係が閉じてしまうって言う状態の何が悪いのか?

というと、結局のところ、開発における「都市の目線」がなくなってしまう、ということが問題になります。

例えば、「権利を持ってる人」は大きいビジネスチャンスであったりとかそのビジネスチャンスに入ってくるであろうテナント(例えば、ユニクロとかスタバとかマックとかそんなとこですね。)に対してのみ注意を払うようになってしまうと。

で、その気を遣う対象が「大きなテナント」と「権利を買ってくれる人」って言う2つのみになってしまうと、当然、都市目線の都市的なスケールでの視点がなくなってしまうよね。それって問題だよね。っていうのが一つ目の問題点です。

もちろん、計画する人の中には、都市的な考えを持っている都市計画家とか権利者っていうのもいると思うんですけど、大きくはそうなってしまうよっていう問題ですね。


②スクラップアンドビルド型の都市計画の形

で、2つ目がスクラップアンドビルド型の都市計画、て言う問題です。

本題に入る前に、簡単に「スクラップアンドビルド」っていうものについて触れておきますと、スクラップアンドビルドっていうのは、「新しく物を作ろう」となった時、そのたびに、既存のモノを「スクラップ」して、新しいものを「ビルド」するという、建築・都市計画の形の事です。

じゃあ、そのスクラップアンドビルド型の都市形態の何が問題か?

一言でいうと、時代に合わない、割に合わない

さっきも言ったんですが、「新しいものを作りたいです」ってなったときに、「今あるものを壊して新しいものを作りましょう」っていうのがスクラップアンドビルドの考えで、その考え方はかつての経済が成長してた時期に行われてて、成長を支えてた面も間違いなくありました。

支えてた訳なんですけど、今その経済成長も鈍化し、かつ、人口も減少していくよ、環境にも配慮しなくてはいけないよ、って言う状況の中で、その新しくものを作りたいって言った時に、「じゃあ壊しましょう」という考え方だとわりに合わない。

現状ある既存ストックをどう都市計画として使っていくかって言う考え方がないことが、この問題です。

建築家の隈研吾さんも『隈 研吾氏が語る、都市の魅力を構成する要素は何か?』というhilifevideocontentsさんのインタビューで「改修ができない。今のデザイナー教育・建築教育の一番の弱点だと思っている」という旨の事を話しています。
改修の話は25:00あたりからですね。

③詳細な要求をする法制度

最後が法制度による詳細な要求です。

平たく言うと、「ものを作りたいです」って言ったときに、「ここはこうして、あそこはこうして、その辺はこんな風に作ってね」っていったような法的な縛りっていうのがめちゃくちゃ多く、その要求に形を与えるだけでいっぱいいっぱいになってしまっている、という問題です。

法的制限が多くなるとどうなるか?

制限が多いとどうなるか?っていうのは割とイメージしやすいと思います。

制限が多いとそれだけ、作れるものの自由度に限界が出てきます。

例えば、「立体」を作るとしたとき。

その時に、「んーとじゃあ、底面は正方形で。あと、高さは10㎝以上11㎝未満で。それから、色は赤色で頼んますわ。あーそうそう素材はコンクリートでお願いね。」

みたいな条件が全て決まってる状態だったらそういうものしか作れないよね。で、そういう要求をただ形に起こすって言うのが役目になってしまってるよね、って言うことですね。


まとめ

まとめると、

①「権利貸す側」と「権利をもらう側」の中でその場所の権利っていうのが閉じてしまっているから、その場所に都市的な広い視野都市的な広い観点入りづらくなってしまうよ

②今までスクラップアンドビルドって言う考え方をしてきたんだけど経済は鈍化。人口も減少。環境にも配慮しなきゃいけないって言う中で、スクラップアンドビルドじゃなく、既存のストックの利用を前提として都市開発再開発の仕方を考えなくちゃいけないよ

③今の都市計画って言うものが法定制度による「制限・要求」が詳細すぎて、それに形を与える事で結構いっぱいいっぱいになってしまっている

ていうのが、『西村幸夫 都市論ノート』で語られている、現在の日本の都市計画・まちづくりの問題点3つでした。


じゃあ、この都市構想の3つの問題点って言うものを設計提案にどう移していくのか? そもそも、活かしていけるのか?

と考えると、正直なところ、規模が大きく、制度的な問題も入ってくるんでちょっと難しい所もあるかなと思います。

が、実際に今後も建築の業界で働くのであれば、3つの問題は考えるべき問題です。一つの建築業界における教養として、参考になればなと思います。

最後までありがとうございました~。 ではまた。

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